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2021.08.21

図形&文字を商標登録する方法

最近は、中小企業・個人事業主でも、オリジナルのロゴ(図形)やネーミング(文字)を使って、自社の商品やサービスのブランド化を進めるケースが増えてきました。そうなると、そのロゴやネーミングを他社に勝手に使われないように、商標登録をしておく必要があります。

ロゴとネーミングの両方を使おうとしている場合、以下のようなお問い合わせを頂きます。

  • 図形と文字を別々に商標登録すべきか?
  • 図形&文字のセットで商標登録すべきか?

結論を言うと、ケースバイケースです。以下に示す基本的な考え方とそれぞれのメリット・デメリットを理解した上で、状況に応じて判断する必要があります。

基本的な考え方

単に「どちらの方が好ましいか?」と言えば、図形と文字を別々に商標登録する方が好ましいです。詳細は割愛しますが、ここは揺るがないところです。

ただし、商標登録は商標ごとにする必要がありますので、 図形と文字を別々に商標登録すると費用が嵩みます。もちろん、その費用が許容範囲内であれば、最初から別々に商標登録すべきです。一方で、その費用が捻出できないケースもあるでしょう。なんとか捻出できるとしても、できるだけ経費を抑えたいと考えると思います。実は、図形&文字のセットで商標登録しても、図形と文字を別々に商標登録した場合と、得られる効果はほぼ同じなのです。

そうであれば、図形&文字のセットで商標登録した場合のデメリットが小さければ、セットで商標登録することも選択肢に入ってきます。

図形&文字のセットで商標登録するデメリット

商標登録を受けられない可能性

図形部分に似ている先行登録商標が存在した場合、仮に文字部分が全く違っても、全体として商標登録を受けられません。文字部分に似ている先行登録商標が存在した場合、仮に図形部分が全く違っても、全体として商標登録を受けられません。

なお、それが分かってから、図形部分や文字部分を削除したり、変更したりすることはできません。あらためて出願し直すことはできますが、出願が遅れた分だけ商標登録を受けられなくなる可能性が高くなります。

商標登録後に取り消される可能性

商標登録をした商標は使用することが前提であり、商標登録後3年以上にわたって商標を使用していないと不使用取消審判により取り消される可能性があります。ここで、商標を使用していると認めて貰うためには、原則として商標登録された商標そのものを使用していなければいけません。

例えば、図形単独や文字単独で使用していても、図形&文字のセットで使用していない場合は、不使用と認定されて取り消される可能性があります。

図形&文字をセットで商標登録しても大きな問題にならないケース

裏を返せば、上記のデメリットが小さければ、文字&図形をセットで商標登録しても大きな問題にならないと言えます。具体的には、以下の条件を両方とも満たすことがポイントです。

  • 図形部分/文字部分に近い先行登録商標はいずれも全く見つからなかった
  • 図形&文字のセットで「も」使用する