原簿とは
特許業界における原簿とは、特許庁にある「特許権等の知的財産権の権利状況を記録した帳簿」です(「帳簿」と言っても現在存続している権利についてはすべて電子化されています)。
例えば土地などの不動産については、その所在や状況について記録した不動産登記簿というものがあります。知的財産権における登記簿にあたるものが「原簿」です。
原簿には、権利が登録になった際に作成される「登録原簿」、登録された権利が消滅した場合にその登録を移す「閉鎖原簿」の他、いくつか種類がありますが、ここでは一番参照することが多い「登録原簿」についてご説明します。
登録原簿の記載内容
登録原簿で確認できる主な内容は右図の通りです(特許の場合)。(1)~(4)は登録公報(特許公報)でも確認できます。(5)~(8)については、正確な最新情報を確認するためには原簿を確認する以外はありません。
このうち、特に原簿を用いて確認することが多いのは「(5)権利の消滅」と「(7)現在の権利者」です。自社技術が他社の権利を侵害していないか確認したい場合や、既にある権利についてライセンス交渉をしたい場合などに、「その権利は現在も生きているのか?誰が所有しているのか?」を正しく把握するために、原簿を確認することが多いです。
原簿からはわからないこと
権利内容
原簿に記載されるのは権利の「状況」であり、その「内容」は記載されません。したがって、例えば権利の内容(技術内容等)を知りたい場合には、原簿ではなく登録公報を確認します。
まだ権利化されていない案件(出願中案件)の状況
原簿が作成されるのは、権利が発生した時です。つまり、まだ登録になっていない出願中の案件には原簿がありません。出願中の案件の情報は、J-PlatPatにて確認することができます。
原簿の確認方法
原簿は、誰でも閲覧することができます(謄本の交付を受けることもできます)。原簿の閲覧方法と料金は以下の通りです(2022年7月1日時点)。
窓口請求(特許庁の専用端末で閲覧) 800円/件
オンライン請求(自身の端末から閲覧) 600円/件
オンライン閲覧請求をする場合の注意点(オンライン閲覧の詳細についてはこちら)
- 事前手続が必要
- 閲覧書類が届くまで数時間かかる(請求時間によっては翌開庁日になることもある)
- 受付時間:開庁日の9時~22時
- 閲覧可能期間:受取可能となった日の翌日から開庁日で5日間