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手続き
2022.03.30

特許庁へのオンライン手続

特許庁への手続書類は書面(持参でも郵送でも可)または電子ファイル(オンライン)で提出します。ほとんどすべての特許事務所ではオンラインを中心に手続をしています。

オンライン手続の流れ

オンラインでできると言っても、誰もがインターネットから簡単に手続できるわけではありません。専用のソフトウェア(インターネット出願ソフト)を使い、以下の手順で手続を行います(詳細については、特許庁電子出願サポートサイト「はじめての方へ」をご覧ください)。

① 事前準備

なりすましを防ぐため、まず電子証明書を購入し手続をする端末にインストールします(個人の場合はマイナンバーカードの電子証明書も利用可)。その後、インターネット出願ソフトをインストールし、利用者登録を行います。利用者登録では、識別番号と電子証明書の組み合わせが特許庁に登録されます(識別番号についての説明はこちら)。

② 書類の作成&準備

特許庁に提出する書類は、Word等の文書作成ソフトを使って作成します。書類の書式、使用できる文字、イメージ(図)の挿入方法等については決まったルールがありますので、それに則って作成し、HTML形式で保存します。作成したHTMLファイルをインターネット出願ソフトで読み込み、送信すれば、手続完了です。

オンライン手続 vs 書面手続

オンライン手続と書面手続には大きく以下のような違いがあります。個々の状況に合った手続方法を選択するのがよいでしょう。一見するとオンライン手続の方がメリットが多いように見えますが、手続きの頻度や書類のボリュームが少ない場合には恩恵を受けにくいかもしれません

手続のタイミング

オンライン手続のメリットのひとつは、「24時間いつでも手続きができる」ということです。例えば夜に特許申請書類が出来上がった場合、オンラインですぐに提出すればその日が出願日になりますが、書面の場合は翌日以降特許庁に提出した日(郵送で送る場合は消印日)が出願日になります。出願日が1日ずれることで権利化可能性に大きな影響を与えることがありますので、手続の即時性は非常に大切です。

番号通知のタイミング

特許等を申請すると出願番号が付与されますが、オンライン手続では申請完了時に出願番号がわかる一方、書面手続の場合には出願番号通知が郵送で届くのに数週間かかることがあります。番号通知は通常急ぐものではありませんが、早く判明していた方が管理上便利です。

手間&費用

上述の通り、オンライン手続を行うためには原則的に電子証明書の購入が必要です(数千円~数万円)。一方で、書面手続の場合にはそのような手間や費用はかかりませんが、所定の書類を書面で提出した場合には「電子化手数料」の納付が必要となります(電子化手数料についての詳しい説明と対象書類については特許庁ホームページをご覧ください)。

〔 電子化手数料〕(2022年4月1日以降値上がりしました)
1件につき2,400円+書面1枚につき800円


オンライン手続で提出できない書類

特許庁へ提出する書類の中には、一部書面でしか提出できない書類もあるので注意が必要です。

書面での提出が必要(オンラインでは提出できない)書類の例

  • 委任状
  • 各種証明書類(譲渡証書、印鑑証明書、登記簿謄本等)
  • 新規性喪失の例外証明書
  • 審査請求料軽減申請書、特許料軽減申請書
  • 権利登録後の権利移転(譲渡、放棄等)手続関連書類   等

なお、これらの書類については電子化手数料の納付は不要です。
また、近年特許庁でも押印廃止の流れが進み、多くの書類が押印不要となりましたが、「押印不要=原本(書面)提出不要」ではないことにご注意ください。