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手続き
2022.08.05

地域団体商標の手続

地域ブランドの保護のコラムで、地域団体商標を紹介しました。

地域団体商標という制度は、「地域名称」+「商品(サービス)の普通名称等」からなる「地域ブランド」を保護することで地域経済の活性化を図ることを目的としています。

上記コラムでも書きましたが、地域名称+普通名称等からなる商標は、一般的に使用されていて、自他商品等識別力が認められないことから、本来、商標登録が認められていませんでした。

しかし、一定の要件を満たすことで、地域名称+普通名称等からなる商標であっても、商標登録を認めようというのが地域団体商標の制度です。

この一定の要件とは、①地域に根ざした団体の出願であること、②地域の名称と商品(サービス)に関連性があること、③一定の地理的範囲の需要者間である程度有名である(周知であること)ことで、地域団体商標の申請にあたっては、これらを証明するための書面、例えば、以下に示すような書面を提出する必要があります。

手続に必要な書類

登記事項証明書の原本及び設立根拠法の写し

この書面は、その地域の農業協同組合や商工会議所等が出願人であることを証明する書面であり、出願人が地域に根ざした団体であることを示します。

なお、設立根拠法の写しは、願書に設立根拠法を記載することで省略することができます。

その地域と商品(サービス)と関連性を証明する書面

関連性は、例えば、農産物であれば、その地域で生産されたことを示す書面、サービスであれば、その地域で行われているサービスであることを示す書面を提出することで証明します。

このような書面としては、例えば、新聞や雑誌等の記事公的機関等の証明書パンフレット納入伝票や注文伝票等の写し等を挙げることができます。

一定の地理的範囲である程度有名であること(周知性)を証明する書面

この書面は、一定の地理的範囲である程度有名であるから、地域ブランドとして保護することが必要であることを証明する書面となります。

一定の地理的範囲ということから、全国的である必要はなく、隣接都道府県で周知であれば良いとされています。

ただ、この周知性を証明するのは想像以上に困難です。

農作物等の生産物の場合は、周知性を証明するために、原則として、隣接都道府県にどの程度の期間、どの程度の数量を出荷したかを示す出荷伝票や納品伝票の写しを提出する必要があります。

また、上記書面以外に、周知性を裏付ける書面として、例えば、テレビでその地域のブランドとして紹介されたような事実があれば、その事実を証明する書面(例えば、番組案内が書かれたウェブサイト等の写し)を提出する場合もあるようです。

地域団体商標の申請は意外と難しい

このように、地域団体商標の申請は、様々な書類を提出しなければならず、どんな書類が必要であるかも判断しなければなりません。

地域団体商標の申請は、通常の商標申請よりも多大な労力が必要となり、結構ハードルが高いです。

自分たちで頑張って申請してみるのも良いとは思いますが、どうしようとあれこれ悩む場合には、知財の専門家である弁理士に任せてみてはいかがでしょうか。